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あたりはすっかり夕陽色になっていた。
ゆっくりと駐車場に向かう。
私は山頂の景色と吸い込んだ空気を思い返していた。
遠藤くんと出かけるまでは知らなかった感覚。
『あのさ…いつか一緒に富士山に登りたいな。
最高の景色を一緒に見たい。』
そう言うと遠藤くんは嬉しそうに繋いだ手をブンブン振り回した。
『よし、もう少し体を鍛えて一緒に行こう!』
この人と一緒なら何でも出来る気がしてくる。
迷子になっていた私の気持ちは、最高の居場所に受け入れてもらった。
私も遠藤くんの居場所になりたいな。
口が悪くて鋭くて、手先が器用でたまに子供っぽくて、深いところで優しい人と久しぶりの恋が始まった。
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