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森を追われた俺は、トボトボと獣道を避けて歩いた。
野山を掻き分け掻き分け、項垂れて延々と歩き続けた。
俺って、いったい何なんだ?
俺って、いったい何者なんだ?
俺は飲まず食わず歩き続けた。
俺は外来種の身。部外者だ。
もしそこら辺の樹の実を食おうなら、ここの住民に制裁を加えられるからだ。
俺は外来種の身。この世界の何処でも居られない、居てはならない存在。
俺は空腹を必死に堪え、痩せこけた身体に鞭打ってひたすらトボトボと延々と歩いた。
俺って、何なんだ・・・
俺って、何なんだ・・・
俺って、何なんだ・・・
俺って、何なんだ・・・
のっし、のっし、のっし、のっし。
俺の後ろから、ずっしり重い轟音を感じた。
いったい何なんだ?!
俺は気になって振り向くと、一頭の大きなツキノワグマが口いっぱいに果物を頬張ってゆっくりとした足取りで迫ってきた。
「やあ、アライグマ君。ずっと見ていたけど何か元気が無いから、付いてきたよ?
どうしたの?」
ツキノワグマのボンブは、俺の顔を下から覗き込んできたので思わず硬直した。
「そう緊張しなくていいよ。別に君を喰らう訳ではないから。
だから、君どうしたんだい?」
お、俺って・・・外来種だよね・・・
大きな鼻を俺の顔の目の前に突き出して、鼻息をもろに浴びせるツキノワグマのボンブの目を見て震え声で答えた。
「だから、君は確かに外来種だよ。」
ツキノワグマのボンブは、更に大きな鼻を俺の鼻に押し付けて更に言った。
「君のようなアライグマはねぇ、この遠ぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い海の遥か向こうぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜の国にいーーっぱい住んでるんだぜ?」
その遠ぉぉぉい国って何処??!!!
俺は輝かせた目を見開いて自らの鼻をツキノワグマのボンブの大きな鼻に押し付けて、かな。興奮して言った。
「えっっ・・・と、あの山超えて、また山超えて、その山も超えて、また更に山超えたら見えてくるを海を渡って・・・
あれ?アライグマがいないぞ?!
まさか・・・?!」
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