0人が本棚に入れています
本棚に追加
ツキノワグマのゴンダに俺の本来の故郷を教えて貰らい、俺の胸は希望と期待に大きく弾んだ。
あの山を超えて行けばいいんだ。
そして、その超えた山も超えればいいんだ。
そしてそのまた来る山も超えて、更に山も超えて、そしてそして・・・!!
俺は脇目を振らず、一心不乱に走り続けた。
そうだ!!生まれ故郷へ帰ろう!!
あの山の向こうの向こうの向こうの向こうよそのまた向こうの!!
更に山の向こうに拡がる海を渡れば、俺の本来の生まれ故郷にたどり着ける!!
待っている!!きっと俺の帰りを待っている!!
あの遥か向こうの俺の生まれ故郷の世界に!!
俺は腹を空かせる暇も無く、喉の乾きを癒やす暇も無く、一心不乱に遥か彼方の俺の故郷へ向かって駆けていった。
しかし、走れども走れども、一向に生まれ故郷への道へは辿り着けない。
遂に俺は疲れ切って地面に倒れ込んだ。
疲れた・・・故郷までの道のりがこんなに遠すぎるなんて・・・
しかし、俺の故郷ってどんな場所なんだろうな。
俺のようなアライグマがいっぱい住んでて、俺を慕う雌がいっぱい居て・・・
故郷を想像するだけでも胸が湧いた。
さあ行くぞ!!
俺は居ても立っても居られなくなり、思いっきり奮い立たせると、再び故郷へ向けて走り続けた。
山を超え、そして山を超え、更に山を超え・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ん?この音は?!
俺は聞き覚えの無い音を聞いた。
それは、打ち寄せる波の音。
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
海!!海だ!!俺は遂に海に来たんだ!!
さあ!!この海を渡って故郷に行くぞ!!
俺は興奮して海の波音がする場所へ駆け寄った。
海!!海!!海!!海!!
この海を渡れば!!俺は!!俺は!!
俺は!!
ぶろろろろろーーーー・・・!!
ガンッ!!
最初のコメントを投稿しよう!