もう元には戻れない

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「こんな人ウチに居ない。帰ると良いよ」 「いやだってここに黒龍館って書いてある」 「じゃあお酒いっぱいいっぱい飲んで店に金落とす。もしかしたらその人出てくるかもしれないね?」 言い終わらないうちに目を細めて見つめられ、俺は絶対ここにこの名前の人が居ると確信し店に入る。店内はフロントを抜けると豪華な地下に降りる階段があり、その階段を降りると眩しいくらいの豪華な空間が広がっていた。 チャイナドレスを着た女性達が様々な男の相手をしていて、身構えたが普通のホステスの店なのかと思い立っていれば一人の女性が近付いてきた。 「いらっしゃいませお兄さん。一人?私と飲もう」 「あ、あぁ」 腕に抱きつかれ席に案内されメニュー表を見せられた。別に高いメニューがあるようにも見えなくて、とりあえず酒とつまみを頼んで飲み食いをする。 隣に座る女性に名刺を見せても知らないとシラを切られてしまう。やはり飲むしか無いのかと散々酒を飲んでいれば酔っ払ってしまった。 「お兄さんお会計」 「んー…」 「5800万よ」 「5800万かぁ…はぁ!?んなわけねーだろ!」 酔っ払いながら財布の中を見ていたが、俺はハッとして声を上げてしまい周りの視線を集めてしまう。内訳を聞けば指名代というものが発生していて、この女性が高いのだと言われたがそんなのどこにも書いてない。
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