もう元には戻れない

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「この部屋の中やけど、入る??」 さらに地下への階段を降りた先には重たい鉄の扉があり、うめき声が聞こえてくる。だが俺がこくんと頷くと扉を開けてくれたが、うめき声が更に直接聞こえてきて耳を塞ぎたくなった。 部屋の中は牢獄のような空間で、裸の若い男女が檻の中で無心で自傷をしたり自慰をしたりしていてまともな精神状態には見えなかった。目元もくまがあり痩せこけた人ばかりで俺はその中を歩いて兄貴を探す。 しばらく探せば腕をガリガリ掻いて出血している兄貴を見つけた。優しかった面影はなく鬼のような形相で掻かなければ死ぬとでも言わんばかりだ。 「兄貴!!兄貴俺だよ!宙だよ!!」 「ぅあ…そ、ら?宙宙ソラ宙そら宙宙宙宙宙ソラソラ宙宙そら!!!」 「ひっ!?」 ガシャンと鉄格子を掴んできて目を見開いて俺を見るので俺はジリッと下がってしまう。目は血走りギョロギョロと動いていて不気味ささえ感じてしまう。俺の大好きだった兄貴はどこに居るんだ…? 「会わせたったやん?感動の再会やなぁ」 「ふざけんなてめぇ!!!」 「せやかてお兄ちゃんもお金払われへんし自分と同じで俺の頼み聞かんからお薬飲んでもろてん」 胸ぐらを掴めばしれっと言われてしまう。殴ろうと思ったがまた殴られるのがオチなので、我慢して手を離して兄貴の手に手を重ねてまた兄貴を見ればじっと俺の指を見ている。
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