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「 “惚れ薬”や“縁切り薬”は私の代になって開発した薬で代金をいただきますが、“時ぐすり”は先祖代々、お代はいただかないことになっています」
くすり屋は続ける。
「時ぐすりを必要としている方の元に私は参ります。今回はきっとあなたが私を呼んだのでしょう」
そこまで言うとくすり屋はにこっと笑った。
「もう二度とお会いすることはありませんように」
それからくすり屋は、隣のたこ焼き屋の後ろを指差す。
「さあ、薬の効き目がどのくらい出るかは人次第。念のため、あちらのベンチに座ってお飲みなさい」
そこには古びたベンチがあった。
恭介は肯くと、小瓶を持ってベンチへと向かう。
ベンチに座ると、バッグを隣に置き、瓶の蓋を取り、まじまじと中を覗く。そして、恐る恐る口をつけると、中の薬をいっきに飲み干した。
甘くて苦い味がした。すると……。
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