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7.
周囲がくるくると回り出したような錯覚に捕らわれ、夏祭りの人々の笑い声や話し声にエコーがかかり、それが少しずつ遠のいていく。
目を開けておれなくなり思わず閉じると、目の中で光が反射したようになる。
そして急に目の前にスクリーンでも現れたかのように、過去の映像が映し出された。
ーー奏子と雛子の棺の前で、喪主挨拶の言葉に詰まり、男泣きする恭介。
ーー警察から連絡を受け、霊安室で二人の亡骸に対面し、奏子の顔を見て泣き崩れる恭介。
ーー事故の朝、数時間後に悲劇に見舞われるとも思わず、笑顔の二人に見送られて出社する恭介。
ーー事故の前夜、ベッドで川の字になって横になり、雛子の寝顔を見ながら将来のことを語り合った奏子と恭介。
想い出は走馬灯のようにどんどん過去へと遡り、はじめて雛子が立った日のこと、雛子が生まれたときのこと、雛子の妊娠がわかったときのこと、夫婦になって初めて過ごしたクリスマス、新婚旅行で行ったハワイの海岸……と懐かしい想い出が蘇ってきた。
ふと、今年の正月に、奏子の祖母が話した言葉を思い出す。
「このつらい気持ちが消えるっていうのは、時間が経って忘れてしまうってこと?」と恭介が聞いた、あのときのことだ。
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