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「薬の効果はそりゃもう抜群! ただしお嬢さん方、間違えてはいけませんよ。これは相手を惚れさせる薬じゃありません」
くすり屋が軽快に語る。
「え? そうなの?」
「惚れ薬なのに?」
戸惑った声。
「自分で飲んで、自分が相手に惚れる薬です」
きっぱりと言うくすり屋の声。
「えっ、なんで? 自分が飲むの?」
「えーっ! 相手に飲ませちゃだめなの?」
女の子たちは不満気だ。
「この薬は自らの意志で飲まなければ効きません。だいたいこっそり相手に飲ませて、それで自分を好きになるよう仕向けるなんて、そんなの犯罪、卑怯者のすることじゃありませんか」
くすり屋の答えは至極全うだった。
「そ、そりゃそうだけど、でも、だったら、どんな人がこの薬使うんですか?」
「自分で飲むって意味わかんないよね?」
不満気な声が再び上がる。
「そうですねぇ。最近、購入いただいたお客さんの例でいうと、親同士の決めた結婚で相手のことがいまいち好きになれないお嬢さんが、これを飲んで喜んで結婚したとか……」
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