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「倦怠期のご夫婦が二人でこれを飲み、新婚時代みたいなラブラブカップルに戻ったとかですかねえ」
白けた空気が流れる。
「なんか、思ってたのと違うね。行こう。あっちで、金魚すくいやろうよ」
「がっかりだな。行こ、行こ」
興味を失くした女の子たちは、くすり屋の屋台を離れて、参道の奥へと歩き去った。
「ありがとうございました! またどうぞ」
彼女たちに向けた、くすり屋の威勢の良い声が虚しく響いた。
(なんだか胡散臭いくすり屋だな……)
やりとりを後ろで聞いていた恭介はそんなことを思ったが、女の子たちが去って視界が開け、当のくすり屋と目が合ってしまった。
「お客さん、いらっしゃい。よかったら、覗いていってくださいな」
元気よく声をかけられ、恭介は思わず屋台に近づく。
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