呪い玉

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それから、荒瀬さんはいつも、苦笑いで佐藤さんを避けていたけれど、とうとう注意した。 「悪いけど、どれだけ僕に優しくしてくれても、他の人を虐める人には興味がないし、迷惑だから、仕事の付き合いだけにしてくれないかな?」 「!」 佐藤さんは、小さな声で「ごめんなさい」と言い、荒瀬さんに背中を向けた。 他にも、佐藤さんにとってその日の内に色々と嫌な事が起こった。 そして、会社の帰りに急に道路に飛び出し、交通事故で彼女は重症となり、会社に復帰できなくなる事を後に知る事となる。 その日の偶然と思うには、彼女の運は悪すぎた。 呪い玉のせいだと思う。 でも、その位、私は彼女を恨んでいたのだ。 そう思うと、少し怖い。 自宅への帰り、何気に「何でも薬局」の表札を見ると、そんな物は無く、ただ、松川と書かれていた。 おかしいと思って周りを探してみたものの、そんな薬局は無く、更にアパートの窓から、屋敷を覗いてみると、私が入った蔵も無かった。 「何でも薬局」とは、一体、何だったのか、分からない。 しかし、いつ、自分が呪い玉を飲まされるか分からない。 他人に恨まれないように、生きていかなくてはならないと思う。 佐藤さんの所に、呪い玉のチラシが届く事だってありえるのだから。 今は、誰かが入れた水を飲むのさえ、少し怖いが、とりあえず幸せな毎日を送っている。
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