呪い玉

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ずっと自分がいなくなれば良いと思っていた。 矢代みち、25歳。 会社でイジメを受けている。 イジメのボスキャラは佐藤杏里28歳。 先輩だ。 後輩の数人を引き連れて、私にイジメを仕掛けてくる。 今日は分厚い書類のミスを私のせいにされた。 私じゃないのに。 私じゃないって知ってる他の女子社員も、その時はダンマリ。 後になってから、私に「ドンマイ」って声をかけてくる。 辞めたい。 でも、なぜだか辞められない。 何にしがみついているのか分からない。 そんな自分も嫌だった。 イジメの発端は、社内恋愛だった。 会社で1番人気の男性社員、荒瀬卓哉が私に告白してきた。 私も、荒瀬さんの事は気になっていたので、その時は有頂天だったけど…そのやりとりを影から佐藤杏里が見ていたとは知らずに、荒瀬さんにオーケーを出した。 それからだった。 「荒瀬さんと付き合うの?やめなさいよ、道端の雑草みたいなあなたには似合わないから」 「えっ!?」 急に、佐藤さんにそう言われた。 誰にも私と荒瀬さんが付き合う事になったことを伝えていない。 「見たわよ、荒瀬さん、どうしたのかしらね?矢代さんのどこが良かったのかな?あなた、荒瀬さんに何かしたの?」 「いいえ、なにもしてません」 「じゃあ、今から別れなさいよ」 「そんな、…そんな事できません」 同じようなやり取りが続いた。 そして、今に至る。 彼氏の荒瀬さんにも相談した。 彼は「会社を辞めて、他に仕事を探そうよ」と言ってくれた。 最近は「仕事辞めて俺と結婚する?」と言った。 荒瀬さんは良い人だし、仕事もできる。そして、なにより愛してくれている。 ただ、付き合い始めてまだ数ヶ月。 結婚するには早いかなと思っていた。 でも、会社、辞めようかな…佐藤さんが逆に居なくなればいいのに。 毎日姑息な嫌がらせに耐えるのもツラくなってきた時だった。 一人暮らしの私のアパートに1枚の小さなチラシが入っていた。 "憎い相手を呪う薬、呪い玉あります。何でも薬局” 何でも薬局? この辺で聞いたことないな。 しかも電話番号しか書いていない。 実に胡散臭い。 そう思いながら何気にテーブルにチラシを置いた。
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