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ところが、どういうわけだよ。
あいつは六十五歳、娘は四十歳。
娘はそれなりの会社に勤め、まずまずまともな社会人でいるようだが。
給料をはじめ、金銭は全て母親の管理で?
日常の買い物も余暇の予定も、その日着る服さえも母親に選んでもらわないと決められず?
交友関係も許可が必要で?
というか、いつも不安に苛まれていて、そもそも他人が信用できない?
常に情緒不安定で、訳もなくふとした拍子に泣きじゃくる……は? 暴れたりもするのかよ。
将来のビジョンも描けず、貯金も殆どなく、ライフプランも立てられず、万に一つ母親の身に何かあったら全く身動きができなくなるだろう。あまりに心許ないぞ、大人として。……大人、なのか?
なのに、本人は一切困っていないとか!
おいおい、冗談じゃねえよ。
それが『薬』のせいで、勧めた俺のせいだっていうのかよ。……だから、『毒』じゃねえっつーの。
……まあ、分かるよ。心配だよな、こんなことになっちまって。
…………悪かったよ。俺も、しくじったよ。
参ったな。
あの『薬』、まさかこれほど“依存性”が強いとは思わなかったんだ。
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