Prologue Tragedy

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2012年 8月16日 鹿児島県鹿児島市。 うだるような暑さの中、鹿児島の人たちの足はどこか浮き足立っていた。今日は大規模な花火大会が開催されるためである。 会場には多くの出店が並び、多くの人が訪れ、花火の打ち上げ時間を今か今かと待っていた。多くの人の顔に笑顔があり、楽しげにみんな誰かと話をしている。 「お待たせ〜!りんご飴買えたよ!」 「よし、じゃあ移動しよっか。人が少ない場所で見ようよ!」 浴衣を着た十代後半と思われる少女たちが食べ物や飲み物を手に、屋台が立ち並び賑やかな会場を離れ、歩き出す。夕方から彼女たちはこの会場におり、屋台を楽しんでいた。 楽しんでいる間にいつの間にか夕日は沈み、空には星がいくつも煌めいている。少女の一人が足を止め、漆黒の夜空を見上げた。 「綺麗……」 夜空に浮かんでいる星の名前は知らないものの、その優しい光を放つ存在の美しさだけはわかる。あと数十分後には、この漆黒の夜空は一瞬にして明るい大輪の花で埋め尽くされるのだ。少女はわくわくする気持ちで空を見ていた。その時である。
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