第一話 望月 麻美

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 隣の席には管理栄養士の裕子(ゆうこ)さん、この人がボスだ、四十代半ばだろうか。前には裕子さんと同世代と思われる調理師の加藤(かとう)さん、そして調理補助の内田(うちだ)さんは五十歳を過ぎていそうだ。  望月さんはまだ若いよねえ、歳はいくつなの? 遠慮なく裕子さんに訊かれ、三十三歳になりましたと答えると、そんなにいってるようには見えないわね、と言われて、褒められているようなディスられているような。独身? えっ、あっ、はい。 じゃあ彼氏はいるの? と加藤さん。いえ、いません。じゃあうちの弟に一度会ってみない? みたいな、流れになって、いやいやそんな私なんか、とやんわり断ると、最後に裕子さんから、整形外科の桜井(さくらい)先生はああ見えて手が早いから気をつけた方がいいわよ、とアドバイスを受けた。内田さんは終始相槌だけを打っていた。  せっかくのミルクティーが台無しになった。
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