第五話 麻美

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 体外受精の回数に上限はない。あきらめない限り何度でもチャレンジできる。だからこそとても厄介で、やめ時をなかなか決めることができない。  そのうえ失敗を重ねるごとに、自分の身体に妊娠する能力がないのではないか、という罪の意識にも似た思いが増幅していく。 「ありがとうございます。オーダー通りでした。お疲れさまです」  庵野さんの目を見ずにチェック表を手渡した。とはいえ結果が気になって仕方がない。  今の庵野さんは休む必要がなく不妊治療の状況を皆に逐一報告することもない。でも詮索好きの裕子さんならあけすけに訊ねているかもしれない。  私は仕事を終えた後、食堂へと向かった。庵野さんは朝も見かけたので今日はきっと早出だ、おそらく既に帰宅している。
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