第五話 麻美

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 食堂には内田さんがいた。 「裕子さん達なら休憩室にいますよ」  ひとつの胚を移植した場合の着床率は、二十代なら約五十パーセント、三十代は四十から十五パーセント、四十代になると急激に下がり約五パーセント。  庵野さんの奥さんはまだ二十代の前半ということだから、二分の一の確率で妊娠する、ということになる。私も、おそらく庵野さん達も、一回目はダメだったけどきっと二回目は、とどうしても期待してしまう。  ドキドキしながら部屋に入ると、中には裕子さんと加藤さんがいて、私を見るなり裕子さんが訊いてきた。 「ねえ聞いた?」 「えっと何を、ですか?」
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