21 触れる五分と触れられない三時間

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「ううん、嬉しいよ。セレンもそう思ってくれてたみたいで」 「……」 「否定しないの?」  私が小さく頷くと、レインはますます困った顔をして目を伏せた。 「やっぱり自分の体質が恨めしいよ。早く三時間たたないかなあ」 「もう夜になってしまうわね」 「じゃあ夕食の後はダンスの練習をしよう。このスキンシップも合格出来たら大丈夫だよね、五分以上続けても」 「ええ」  あの小さな庭で二人ダンスを踊るのだ。誰に見せるでもなく、二人だけで。ほんの少し寂しくなった気持ちも完全に埋まっていった。
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