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副所長は私が入社した時には既に働いていた。それよりもっと前から私を知っていたのだろうか。そう、前世から。
「そうだよ、セレンたんは僕の初恋で最愛の人なんだ。セレンたんがいる世界に転生できたなんてね……」
「転生……まさか……」
「おや?セレンたん。心あたりがあるのかい?……あはは!セレンたんも元は日本人だった!?そういうことかな!?」
私の反応を見て、勘のいい副所長はすぐに判断したらしい。身体を折り曲げて笑い始めた。
「そういうことか!セレンたんの設定にしては変なところがあると思ってたんだ!日本人の魂が入ったからだったのかな!?……でもいいよ、僕はセレンたんを愛しているからね。多少の変更くらいは問題がないんだ」
「どういうことですか」
「セレンたん、もしかして『エンドレスメモリーラブ』のことは知らない?」
「知らないわ」
「そんなに睨まないで、教えてあげるから。ああでもこうやってセレンたんに睨まれたかったんだ、最高だな。」
うっとりとした表情で副所長は私の顎を撫でる。
「セレンたんは『エンドレスメモリーラブ』の攻略対象の一人、セレン・フォーウッドだよ」
「攻略対象……乙女ゲームだったの」
「違うよ、美少女ゲーム『エンドレスメモリーラブ』だよ。ああ大丈夫、『エモラブ』は全年齢だからね。セレンたんの恥ずかしい姿はまだ見ていないから。これから僕だけに見せて」
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