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「美少女……ゲーム……」
私は悪役令嬢ではなく。攻略対象の、ヒロインの一人だった!?
「僕は名前もないモブだったからね。今まで君やヒロインと関わることもなかったから前世のことも思い出さなかったんだけど。君が入社してきたんだよ……!全てを思い出して、もちろん運命だと思ったね」
当時のことを思い出すように副所長は目を閉じた。
「まさか君が入社するなんてね。ゲームの中の君とはまるで違う」
「セレン・フォーウッドは働いていなかったの?」
「そうだよ。君は人を信じることが出来ない引きこもりのご令嬢なんだ」
前世で働きたいと私が強く願っていたからセレン・フォーウッドの人生が変わったのだろうか。
「でも僕はわきまえていたんだよ、モブだからね。セレンたんを見守っているだけでよかったんだ。モブとしての役目を全うしていたんだよ。主人公はリリーたんと結ばれたからセレンたんの心の氷はとけることなく笑顔がないままだけど、それでも良かったんだ。僕はベストエンドを迎えたセレンたんよりも、共通ルートの冷たいセレンたんが好きだしね」
ベラベラと早口で語る副所長に、思考が追いつかない。ひとつわかるのは、ゲームは既にエンディングを迎えているようだ。
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