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13 魔法が運ぶ緊急事態
ガタガタと揺れて私の移動が始まった。扉を開く音がかすかに聞こえて、木箱に入り込む風が冷たい。どうやら物置から外に出たらしい。
数十秒揺れが続いて、止まる。
「待たせたな、これを積んだらすぐに出る」
副所長の声が聞こえる。どうやら馬車に積まれてどこかに運ばれるのだろう。ここから離れたらまずい。そもそも今どこにいるのか検討はつかないけれど、王都から離れれば離れるほど助けてもらえる確率は減る。
少しでも時間を稼がないと。私は箱に体当たりしてみる。
「セレンたん、どうしたんだい?僕と一緒にいける喜びで震えちゃったかな?でも暴れないでね、危ないだろう?」
子供に言い聞かせるような副所長の声が聞こえる。
抵抗虚しく、私の身体は箱ごとふわりと宙に浮かぶ。副所長は魔力が高い。浮遊魔法で運ばれたのだろう。すぐに私は着地した。馬車の中に積まれたのかもしれない。
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