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「協力者は信頼できる者にしなくてはいけませんよ。待機していた馬車の従者、金を握らせたらすぐに役目を放棄しましたよ」
レインが副所長と話している間にカーティスが私を木箱から抱き上げ、ロープを切ってくれて、マスクを外してくれた。まだ少し痺れているが立てそうだ。そしてポケットから私は青い卵を取り出した。
私が卵をぎゅっとにぎると一直線に光が伸びて、それは三メートル先にいるレインに繫がっていく。レインの手には白い卵が握られている。レインの方を向いていた副所長は青い顔で振り返って私を睨む。
私はその目線には気づかないふりをして、副所長の奥にいるレインを見るとレインは頷いて微笑んでくれた。
レインはきっと来てくれると信じていたけれど実際に顔を見ると安堵で力が抜ける。
そしてレインの後ろから、すぐに体格のいい二人の男性がやってきて副所長の腕を取った。痩せた両腕は簡単に拘束される。
「離せ……!」
「すぐに騎士団も到着します。言い訳があればその後で聞きましょう」
私はカーティスに支えられながら馬車を降りた。
そしてレインのもとに向かったが、あと数歩というところで、背後で爆発したような音と共に激しい風がその場に吹き荒れた。
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