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副所長自身が起こしていた風に、私たちの放った風も合わさり竜巻になり、勢いを落とすことなく副所長にぶつかった。
「わっ……!」
竜巻が副所長に命中するとその場には大きな砂煙が立ち、土や小さな石が降ってくる。
「セレン!」
私を抱きしめたまま、レインが覆いかぶさるように土から守ってくれる。
「セレン、大丈夫?痛くない?」
「私は大丈夫よ!でもレインは……!?」
「うん、平気だよ。かすり傷にもなってないよ」
「違うわよ、私を抱きしめたりしてアレルギーは!?」
「緊急事態だからそんなこと気にしてられないよ」
レインは私に笑顔を作ってくれるが、すぐに後ろを向き副所長のいた場所に目を向けた。私もレインの肩越しに見ると、砂煙の向こうにうっすらと見える副所長の影は倒れて動く気配はない。
「そうだ、カーティスは……!?」
レインと私が立ち上がると「ここにいます、無事ですよ!」とカーティスの声が聞こえた。
砂煙が薄まってくるとカーティスと護衛の二人の姿も確認出来た。皆怪我はしているが動けるようだ。
護衛の二人がすぐに副所長の元に行き、気絶している彼の手をロープで巻いていく。
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