14 抱きしめられなくても

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 帰宅した私たちは使用人たちにすぐに綺麗にされた。全身土だらけだったのだ。  カーティス以外にも治癒魔法が使える使用人もいて、擦り傷や縛られた手足の痣などを全て治療し終えると心のざらつきも洗い流されて塞がってきていた。  そして同じ頃、カーティスも帰宅した。 「カーティス、おかえりなさい!あなたの身体は!?」 「レイン様もセレン様も無事でよかったです。私ももう問題ありませんよ」  カーティスも土だらけで、風で傷ついて服もボロボロだけどもう傷はないみたいだ。帰ってくるまでに治療したのだろう。 「アントニー・デイビーズは騎士団に引き渡しました」  カーティスの言葉に安堵する。隣でレインもほっとした表情を見せた。 「あの脅迫状は母の嫌がらせだと思ったんだ、色々な可能性を考えず危険にさらしてすまなかった」 「私も副所長――デイビーズの思惑には全く気付かなったから」  レインはまだ申し訳なさそうな表情をしている。 「どうしてあの男はセレンを……」 「セレン様のことが好きだったようですよ。愛情が暴走したんですね、連行される時もずっと愛を叫んでいましたから。結婚したことが許せなかったそうです」 「そうか……」
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