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副所長はどんなことを叫んでいたんだろう。転生だとか、美少女ゲームだとかおかしなことを言っていないだろうか。少し気になるがあまり突っ込んで、私がおかしいと思われるのも困る。
転生。副所長の衝撃的な告白はその後の騒動で忘れていたけど。
彼の言うことが本当ならば。私は、悪役令嬢ではないらしい。外見から勝手にそう判断していたけれど。
しかも原作は既にエンディングを迎えている段階で。主人公はリリーの夫で、リリーをヒロインとして選んで結婚している。ゲームの内容は知らないけれどハッピーエンド後だ。
彼の言い方では私の設定は原作とはだいぶ変わっているみたいだし、レインはモブなのだと言う。
――レインと結ばれるヒロインは、存在しない。ということ?
……よかった。
シンプルすぎる感情がこぼれた。
私は、心のどこかで怯えていたんだ。
少しずつレインに触れることができて、触れてもらえて。少しずつ、でも着実に二人で積み上げていったものが。
私とレインの時間がなかったみたいに全部消えて、彼の心が一瞬で溶けてしまうんじゃないかって。
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