青春オバケ

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彼は、『俺は卒業したら漫画家になるんだ』と言っていた。卒業後、芸術大学に進学した。僕の卒業アルバムの寄せ書きに、『将来価値が出るぞ』と言って下手くそな筆記体のサインを書いてくれた。社会人になってから開催された同窓会で再会した時、普通にサラリーマンをしていると言っていた。何の仕事をしているのか? と訊ねても営業としか答えてくれなかった。  画面が変わった。また知った顔が出てきた。画面下のテロップは同じだった。 「何かを求めて、とにかく足掻いていたって感じですね」
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