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テレビから声がしたので、思わず目をやった。匙子が映っていた。驚いて、視線を戻すと匙子が消えていた。
『青春って幽霊みたいなもんじゃないですか。見える人には見えるらしいけど、見えない人からしたら嘘っぱちみたいな。私は青春が見えない人だから、その存在を信じていません。そして、別にいつか見えるようになりたいとも思っていません。私にとって青春なんてそういう存在なんです』
画面の中の匙子が語る。僕はそれをただ見つめる。
『でも、見えている人はそれでいいと思います。でも、あなたが見ているそれは、本当に青春ですか? と訊いてみたいです』
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