第53話(BL特有シーン・回避可)

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第53話(BL特有シーン・回避可)

「お邪魔しまーす。あっ、洗ってあげようと思ってたのに」 「そいつは悪かったな。いいからお前も……うっく」  ふいに抱きついてきたハイファに下半身同士を擦り合わせられ、小さく呻きが洩れた。押し返そうとするも剥がれない。細腕は意外なまでの力で腰に巻きついている。 「おい、こら、離せって。だめだ、ハイファ」 「どうしてだめなの、好きにしろって言ったじゃない」 「リフレッシャくらい好きにって意味で……っく、だめだ、我慢できなくなる」  身を捩って腕を振り払い細い躰を引き剥がした。ハイファは不満そうな顔でシドを見上げる。若草色の瞳は情欲を湛えて潤み、既に吐息を甘くしていた。 「何で我慢しちゃうのサ。ってゆうか、我慢できてないよ?」 「お前のそんな格好見てたら、誰だってこうなるに決まってるだろ」  もうシドの躰の中心は勃ち上がっている。擦られた刺激だけではない、ハイファを目にした途端に張り詰めさせていた。長い金糸をまといつかせた白い裸身は輝くような美しさ、堕ちてきた神の如き気高さまで感じさせる。  いつもこの身を自分が犯し、汚しているのだと思うだけで、シドは己を成長させてしまうのを止められなくなってしまうのだ。 「僕だって……大体、貴方が先に挑発したんじゃない。今更何言ってるのサ」  口を尖らせて主張したハイファも熱く硬くしている。目前でためらいなく脱いだ男は象牙色の肌を余さず晒し、造形美の如き躰から立ち上るような色気を発散させ見せつけたのだ。  これでだめだと言う方がどうかしている。キッチリ責任を取らせるべきだった。  だが自意識が皆無に近い男はポーカーフェイスの眉間にシワを寄せる。 「挑発? ンなコト、誰がしたんだよ?」 「貴方だよっ! あれで無意識なら天然すぎるよっ!」 「怒鳴らなくてもいいだろ! 分かった、すればいいんだろ、すれば!」 「そんな言い方する人にヤラせるほど、僕はお安く……ああっ、あっふ!」  洗浄液でぬめる己を掴まれ、緩やかに扱かれて、ハイファは一瞬で快感の海に投げ出されていた。けれど好きにさせておく気はない。ハイファもシドの太いものに手を伸ばす。 「あっ、く……ハイファ、お前そこは……うっ!」 「ああん、シド……貴方の手、すっごく気持ちいい……はあん!」  互いのテクニックを駆使して扱き合った。追い詰めては手を緩め、知り尽くした弱い処を指先で擦る。二人の先端から洗浄液とは違うとろりとした液体が零れて糸を引いた。 「ねえ、何で入れて……あぅん……くれないの?」 「ヒマに飽かせてお前をやったら、今度こそぶっ壊すからな……っく」 「そんな、僕はそう簡単に、んんぅ……壊れないよ」 「俺は自信がねぇんだ……んっ、そんなにしたら保たねぇって」  頬を紅潮させ、吐息を乱してシドを扱き上げながらもハイファは細い腰を前後させ始めていた。淫ら極まりない様子にシドは視覚的にも追い詰められ、押し倒してねじ込んでしまいそうになるのを堪えるだけで精一杯となる。思わず手に力を込めるとハイファが訴えた。 「あっ、あ……もう、シド、だめ――」 「いいから、いきたければいけ」 「やだ、シドと一緒がいい、はぅん……お願い、貴方も」  甘い声で懇願され、手の中で変化し暴発寸前のものをきつく縛めてやる。堰き止められてハイファが苦しそうに悶えた。そうしながらもシドを思い切り強く扱き出す。 「きつ、い……いきたい、シド、早く、ああん――」  悶え、シドをいかせるべく攻めながらも、ハイファは逞しい躰を押し倒し、跨って我が身に打ち込んでしまいたいのを堪えた。  手の中の愛し人は太く硬く、これでいつものように満たされたい、掻き回し抉って欲しいという思いを抑えるのに苦労する。 「シド、早く来て……いく、いかせて……あっ、はうっ!」 「俺も、いくぞ……あっく――」  二人は殆ど同時に迸らせた。何度も身を震わせて互いの下腹に熱をぶつける。熱い欲望を振り絞るように弾けさせてしまうと、膝が萎えてハイファはその場に座り込んだ。  珍しくポーカーフェイスを崩して破顔したシドが金髪頭に手を伸ばす。 「座ってていい、俺が洗ってやる」 「本当にどうもスミマセン……」  長い髪を丁寧に洗われ、躰も掌で撫で上げられて、ハイファは湯で綺麗に泡を流された。シドは自分もざっと洗い直すと湯で流し、バスルームをドライモードに変えて、長い毛先にまで指を通して乾かし出す。そうして乾くとハイファを抱き上げ部屋に戻った。  歩けない訳ではなかったが、コトのあとで面倒をみたがるシドは愉しそうで、ハイファもされるがままになっている。ベッドに寝かされ、飲料ディスペンサーで注いできたアイスティーを口移しで飲ませて貰った。溜息をついたところでシドにのしかかられる。 「ちょ、どうしたの、何それ?」 「そう簡単に壊れねぇんだろ、ならいいじゃねぇか」 「自信がないって誰かが言ってなかったっけ?」 「そんなことを抜かした奴がいるのか? いいからもうちょっと甘い鳴き声、聞かせてくれよ」  言われずとも組み敷かれた身が、甘く高い喘ぎを洩らすまで幾らも掛からなかった。
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