第3話 黒塗りの高級車、特急呪物と化した彼氏

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(って、今はそれより……) 未だ惚けた顔をした万里に向き直り、私はさらに追い打ちをかける。 「とにかく、私が本気で好きになったのは万里だけだから!わかった?」 「ひゃ、ひゃい……♡♡」 万里はそう言ってトロンとした目を私に向ける。 「そうだよね♡花子が一番すきなのは俺だもんね?好き…♡好き好き好き!!花子、だーい好きだよ♡♡」 「うんうん、わかってくれてありがとね、あとその催眠かけられたエロ漫画ヒロインみたいな顔やめてね」 と、今日も私はなんとか万里をかわすことに成功したのだった。 「…って、ことがあったんだよね〜朝からマジで大変だったよ」 体育の授業前。女子更衣室で着替えつつ、私は優子に今朝の出来事を話した。 「マジか百目鬼。想像以上にヤベェな」 とっくに着替え終わった優子の言葉にうんうんと相槌を打つ。 「ホントそれな?で、しかもその後、結局万里のエロ顔が止まらなくて、それを見た生徒達が興奮してバッタバッタ倒れまくってさ〜」 「あー、今朝の血まみれになった廊下って、あれ興奮した生徒の鼻血が原因だったんだ」 「マジで地獄絵図だったよね〜wwwそれで私、とんだ殺戮マシーンを生み出してしまったんじゃないかって不安になっちゃったんだけど、途中で万里の顔面に謎のモザイクがかかり始めて、なんとか事なきを得たよ」 「モザイクって現実でも発生するんだ」 「まぁあの顔は流石にモザイクかかっちゃうよ〜。ほら、写真撮ったから見る?」 「うっわエッッッッッロ」 「大丈夫かなーこれ。人間を瞬時に気絶させることが出来るから護身用に持っておきたいけど、何かしらの罪で捕まったりしないかな?卑猥物所持罪とか」 「そんな罪ないけど…でもまぁいいんじゃない?法に触れてないなら。人体にバリバリ悪影響あるけど」 「おお、つまり脱法防犯グッズってわけか…」 防犯グッズが法をくぐり抜けていいのか定かではないが、とりあえず私は特級呪物を手に入れた。 「うーん、にしても、私は万里に対するエロさより、気持ち悪さという面倒くささがぶっちぎりで勝っているから効かないけど、やっぱ優子にも効かないか〜」 「まぁ、百目鬼より私の方がエロいからな。私のエロさって数値にしたら53万ぐらいあるし」 「もうフ○ーザじゃん。てかそれ何基準の数値なの?」 と、まぁ優子はサバサバしているように見えて、実は中3から高1のたった1年間で千人斬りをやってのけた正真正銘のクソビッチなのである。受験シーズンに何やってんだお前。 「でもさ、百目鬼もかなり凄いと思うよ。童貞でこのエロさは中々出せないもん」 「あ〜やっぱ童貞(そう)か〜。あの顔で流石にそれはないかなって思ってたけど...はは!やっぱ千人斬りの目は誤魔化せないね!」 「お前絶対人前その呼び方すんなよ?」 万里のあまりにピュアな反応の理由に納得のいくのと同時に、拗らせた童貞と別れるのはかなり苦労しそうだな、と私は思った。
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