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キーンコーンカーンコーン…
「おはよ…」
「おはよー、今日バリバリ遅刻じゃん…って、なんか花子死にかけてね?」
登校早々、優子は私の様子がおかしい事に気づいたらしい。
「優子…!んもう〜♡いつも冷たいくせに、以外と私の事見ててくれてるんだから♡ふふ、本当に素直じゃないオ・ン・ナ♡」
「先生ー、田中さんが遅刻したくせにしれっと教室入ろうとしてまーす」
「キィィィイ!前言撤回!この爆速チクリ女!」
しかし、爆速チクリ女によって白日の元に晒された私の罪が問われることはなかった。
なぜなら我らが担任、チワワティーチャー佐藤(いつも何故かチワワのように震えている数学の佐藤)がこちらの声が届かないほど、いつも以上に何かに怯えていたからだ。
そんな彼の様子を不審に思った私は、優カス(カスの優子)に問いかけてみる。
「ねぇ、今日のチワティー(チワワティーチャー佐藤の略称)なんか震えにブーストかかってない?」
「あーなんか今日、朝からずっとああなんだよね。顔色もマジ激ヤバのヤバって感じ」
「いやあんたの語彙力の方が激ヤバのヤバでしょ。あ、てか聞いてよ!激ヤバのヤバで思い出したんだけど」
「激ヤバのヤバで思い出す話って何?」
私はボキャブラリーが貧困な優子にもわかるように、今朝出会った男について懇切丁寧に話した。
「ってことがあって…」
「ブハハハハ!wwマジwウケるwww花子wちょw花子最高wあんたマジ最高!!ハハ!www
ゴクゴク…っく〜!うめー!」
(あ〜普通に相談相手間違えたな〜コイツ人の不幸をアテにいちごミルク飲むような女だったわ)
「このカスが!…はぁ、でも本当散々だよ。少女漫画だったら爽やかなイケメン高校生とぶつかってさぁ、その子が転校生としてうちのクラスにやってくる流れになるだろうに」
と、私がボヤいたその時だった。
ガラガラ!!!
勢いよく教室の扉が開かれたと同時に入ってきたのはキラキライケメン高校生……ではなく、黒いスーツに身を包んだムキムキマッチョ外国人だった。
(……え???)
突然の黒船襲来に唖然とする私たちを他所に、スキンヘッドにサングラスといったいかにもな風貌なその白人男性は、入ってくるなり何故かチワティーの胸ぐらを掴んだ。
「おいゴルァア先公!いつまでうちのバンリ様待たせとんじゃい!さっさと紹介しろボケカスがァァア!」
流暢な日本語で怒鳴られたチワティーの震えに拍車がかかる。
「ヒィィイ!あ、あ!すみません!すみません……!」
(え、なにこれ…てか誰?!)
突然の殺伐とした状況に、私を含めクラス中が困惑していると、先程開けられた扉から今度は二人の男が入ってきた。
一人は最初の男と同じような格好をした、これまた大柄なスキンヘッドの黒人男性。
そしてもう一人は…
(え…?えぇぇえ?!?!)
例の激ヤバのヤバ男であった。
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