5人が本棚に入れています
本棚に追加
(ヒィィイ!まずいまずい!なんで?なんでいるの?!)
バレたら多分殺されるのでサッと教科書で顔を隠す。
「え?…え、ちょっと花子。あのタトゥーまみれの男って、まさかアンタがさっき言ってた…」
小声で話す優子に対し、私はコクコクと首を頷かせた。
(そのまさかなんだわ優子…てか本当に何なのあの人達!まぁ反社なのは確定だろうけど…にしてもチワティー、もしかしてこの人達から借りちゃいけない金でも借りたのか?だからその取り立てに学校まで…!?)
そう憶測したその時。
カチャ。
(え?)
なんと激ヤバ男は、チワティーに絡む白人男の後頭部に拳銃を突きつけたのだ。
(うおぉぉぉおお!?ちょいちょいちょい!?!?)
「…あ、、!」
途端に青白くなる白人男。
そしてその状態のまま、激ヤバ男は静かに口を開いた。
「…なぁトム、俺学校についてくるのは許可したけど、先生の胸ぐら掴んで怒鳴れなんて命令してねぇよな?あ゛?」
「あ…ぁ…バ、バンリ様…!」
「何勝手にでしゃばってんの?ボケっとしてねぇでさっさと手ェ離せ 」
そう言って、スキンヘッドの頭にゴリゴリとチャカをねじ込ませる。
((((こっ、怖ェ〜〜!!!))))
今この瞬間、私たちのクラスは恐怖という感情でひとつになった。
「す、すいません!バンリ様!!」
トムと呼ばれた白人男がチワティーから手を離しすと、バンリ様と呼ばれた激ヤバ男もチャカを上着の内ポケットにしまう。
「あー先生、うちの馬鹿がすみませ…って、オイ、トム。お前がビビらしちまったせいで先生泡吹いて気絶してるじゃねェか。さっさと保健室連れてけよ」
「あ…はっ、はい!!」
トムがチワティーを抱え慌てて教室を出ていくと、ずっと黙っていた黒人の男が咳払いをして言った。
「…えーでは、佐藤先生が気絶してしまったので代わりに私がHRを行わせて頂きます。」
(いやなんで?!アンタ部外者だろ?!?!)
そうツッコミたいのをグッとこらえる。
なんと言っても相手はチャカ持ちの反社。ここは大人しく従っておくのがベターだ。
コツコツ…
教室には謎のムキムキ外国人が黒板に文字を書く音だけが響く。
そして彼は黒板に何か文字を書いた後、衝撃的なセリフを口にした。
「よし、それでは皆様に転校生を紹介します。」
「………は?」
思わず声が漏れてしまい、慌てて口を抑える。
(あっぶな今ツッコミかけた〜!え、でも待って、転校生って……このバンリ様とか呼ばれてる男が?!えーうわマジか、えっ、借金取りじゃないの?てかそのビジュアルで高校生は無理あるくない???)
教科書で顔を隠しつつチラッと黒板に目を向ける。
そこにはとても綺麗な字で『百目鬼・ウィリアム・万里』と書かれていた。
(読めねぇ〜〜!)
最初のコメントを投稿しよう!