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「あらあらこいつァ驚いた!今朝のおにーさんじゃないッスか!しかもなんとまぁ、まさかまさかの同級生!いや〜万里君、君エラい大人っぽいねェ〜!そのーアレだ、アレ。そのグラサン?とかね、ヒュー!(口笛)めっちゃイケてるぜェ〜!まぁこれからはタメ!ということでね、タメ口でやらせてもらいたいんですけども〜ってまあね、それはそれとしてね、ちょ万里くん〜!こんなとこで再会するなんて、なんかうちら超ロマンティックゥ〜⤴︎じゃない?!ノリで入籍するか?なーんつって!だははは!」
「………」
地獄再来、静まり返る教室。
ただそこには、静寂だけがあった。
(え?いやいやいや、なんでこうなるの?謝罪しようと口を開いたかと思えばベラベラベラベラお前は何を言ってんだ?田中花子よ。は?ヤクでもキメてんのか??)
過去一自分を恨みつつ、チラッと目の前の男に視線を向ける。
(あ〜ヤバいヤバいなんかめっちゃ震えてるわ。多分これアレだ。怒りで震えが止まらない!ってヤツだわ。クッソ畜生〜!!もう殺るなら一思いに殺れよ!百目鬼・ウィリアム・万里!!!)
私が覚悟を決め、ギュッと目を瞑ったその時だった。
「……はい」
チャカを取り出すこともせず、万里様はただそうポツリと呟いた。
(…「はい」?え何が?何に対しての??あ、違う、違うわ。多分これ「灰」だわ。これから私を火炙りにして灰にしちゃうぞって事か。いやエグ過ぎ〜!!!)
そんなドリカムもびっくりな未来予想図を繰り広げていると、何故か万里様は片膝をつき私の手を取った。
(?!?!何何何!?もう怖い!怖いって!)
その意味不明な行動に怯える私に彼は言った。
「田中花子さん、貴方のプロポーズお受けします。俺と、結婚を前提に付き合ってください。」
「え?あ、はい」
(………うん?ちょっと待って??)
段々と、自分の頭がクリアになっていく。
(私今、告白?された??)
(百目鬼・ウィリアム・万里に???)
(しかも今、流れでOKしたの?私。)
サァーっと血の気が引いていく。
「「「「えぇええ〜〜〜?!?!?」」」」
私が驚くより先に、クラス中からどよめきが上がった。
「え…違…ちょ…待てよ……」
心の中のキムタクはもう既にチワワぐらい矮小な存在となっていた。
パイプオルガンを演奏しだした優子にツッコむ気力すらもう起こらない。
「はは、まさか君の方からプロポーズしてくれるなんて思わなかったなぁ」
そう言って爆弾発言をぶちかました男が立ち上がる。
「ヒィッ!…えーっと、あの…」
(待って待って?!プロポーズって何?え、誰が?……私が!?!?)
そんなわけないと、自分が言った言葉をよくよく思いかえす。
『ノリで入籍するか?なーんつって!だははは!』
(アレかーーーッ!!!)
自分自身最大の失言に頭を抱える。
(いや『なーんつって!』って言ってんじゃん?!こいつ聞こえてねぇのか?てかそもそもなんで受け入れてんの?おかしいだろ!!)
絶望する私に、彼は顔を赤らめ言った。
「俺、すごく嬉しかった。これからよろしくね、花子♡」
(えぇ…)
田中花子16歳。反社の彼ピができましたが、とりあえず早急にお別れしたいです。
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