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齋藤さんが最後に食べさせてくれたのはカラメルの苦味も良く効いた、蕩けるように柔らかなプリンだった。
「旨いか? 俺の卵は旨いか?」と、齋藤さんは優しげな声で問い掛けて来る。
「はい、旨いです! 齋藤さんの卵は旨いですっ!」と、震える声で答えを返す僕。
僕がプリンを食べ終えると、齋藤さんは匙を卵オヤジへと渡した。
そして、その右手の人差し指を僕の口元へと伸ばしてきた。
戸惑いを覚えた僕は、齋藤さんの顔を上目遣いで見詰める。
自分の顔が赤らんでいるのは分かったけれども、そんな事はどうでも良かった。
その顔に優しげな笑みを浮かべた齋藤さんは小さく頷く。
僕の心の中に言いようのない悦びが、そして興奮が拡がって行く。
僕は、ごく自然に齋藤さんの人差し指を咥え込む。
それから口の中に在る齋藤さんの人差し指を無心で舐め回す。
口の端から涎がだらだらと滴り落ちたけれども、そんなことを気にする暇など僕には無かった。
齋藤さんの声が響く。
「奴隷だ。
今日からお前は卵の奴隷になるのだ」
齋藤さんの指を無心に舐る僕の顔には知らず知らずのうちに笑みが拡がって行った。
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