そうだ、学校へ行こう

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今日のデザートは何にするのか。 前は「あなたが好きなもの、買ってあげる」とよく言われていた。 それって、私に気を遣ってくれているんだろうな、とは思っていた。 けど、なんだか恩を着せられている感じもした。 あなたの言う通りにしてあげているんだから、私の言うことを聞きなさい。 そう言われているような気がした。 でも、最近は違う。 デザートを選ぶ権利を、母さんとオセロで勝負して決めている。 私と母さんのオセロの実力は五分五分だった。なので、ちょうどよかった。 オセロで勝つと、その日は好きなデザートを買ってくれた。 母さんが勝ったら、その日のデザートは母さんが食べたいものを買うというルールだ。 母さんは、自分が勝ったら大人気(おとなげ)なく喜んでいた。 そして、私に遠慮せず、本当に自分の好きなものを買ってきていた。 そんな母を見ているのも楽しかった。 オセロで私が勝ったら好きなものを買ってもらえる。私が負けたら母さんは好きなものを買って喜んでいる。 母さんが笑顔でいてくれると嬉しい。 私は勝っても負けてもいい気持ちになれた。
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