我ら、毒グモ軍団

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僕は彼女にゾッコンラブになった。 そして、すっかり逃亡者君の事を忘れていた。 逃亡者君は骨がくっついて、県外の会社に寂しく戻って行った。 僕は営業の仕事を辞めて、地道に生きるために工場に就職した。 そして、2年の月日が経ち、僕達はメデタく、結婚した。 はっきり言って、その2年間、ほとんど毒グモ軍団には会わなかった。 やっぱり友情より愛を天秤にかけたら、どっちを取るか一目瞭然だろう。 あの時、僕ら毒グモ軍団が恋愛禁止にしていた意味がようやく分かった。 おそらく、自由恋愛を許していたら、毒グモ軍団は自然消滅していただろう。 僕の結婚式で、毒グモ軍団の5人が久しぶりに集結した。 「タムロ君、久しぶり! 今日はありがとう。 元気にしてた?」 「うん、自衛隊を辞めたんだ。 バスの運転手をしてる。 ひーちゃん、何処でナンパしたの?」 「違うって!ナンパじゃないよ。 たぶん……」 「骨太君、今日はありがとう。」 「実は俺にも子供が出来たみたいなんだ。 急にだから、ひーちゃんみたいに結婚式は挙げれないけど。」 「骨太君、おめでとう。」 「逃亡者君、今日はありがとう。」 「運命のイタズラだ。 あの時のタイミングで、ひーちゃんに負けた。」 「いやいや、残念だけど、逃亡者君には、そんな気持ちは無かったて言ってたよ。」 「……。」 「ボス君、今日はありがとう。」 「披露宴、沢山の新婦の友達が来てるな。 俺は大学で骨太君に負けないナンパテクニックをマスターしたんだ。 今日こそはゲットするぞ!」 「ボス君、今日はやめてくれ……」 骨太君が友人代表でスピーチをしてくれた。 何故、骨太君だって? ボス君にスピーチさせたら、何でも暴露するから僕は恐れたんだ。 皆んな、ありがとう。 僕は幸せになるね。
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