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「玲奈さんは、自分を抑えて生きてきたんですね……」
頭がパンクしそうで、でもそれだけは伝わってきて、共感できた。
「悠斗君にも覚えがあるんでしょ。
私の気持ち、わかってくれる気がしてた」
「なんでですか」
「悠斗君、優君のこと好きだから」
バレていた。でも嫌な気はしなかった。
「だけど……優さんは優さんで思うところがあったって……なんなんですか、それ」
「知りたい?」
玲奈さんはふとスマホを見て、微笑んだ。
「あとは本人から聞いたらいいわ」
「え?」
直後。引き戸が開いて、僕は目を疑った。
そこに優さんが立っていた。息を切らせている。
「悠斗君、挨拶の件で困ったらLIMEして。
私、タクシー拾って帰るから。
あとはごゆっくり」
玲奈さんは一万円札を置いて、あっという間に出て行った。
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