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「悪い、遅くなった」
招待状から目を離すと、優さんが立っていた。
僕と違って、がっしりした体格。うっすら日に焼けて、目鼻立ちがはっきりしてて、目が合うと毎回僕の胸は射抜かれてしまう。
ああ、カッコいいなぁ。
「とりあえず飲もうよ」と僕はビールを二つ、注文した。
どうせ話は飲みの後半だろうと思っていたけど優さんはそわそわと落ち着かない。
左手を見ると、確かに指輪がなくなっていた。
「今日の話って……離婚式に出席してほしい、でしょ」
「うん……」
歯切れも悪い。せっかく平静を装ったのに、僕はイライラしてきた。
「僕、行く必要ある?
てか、なんで離婚したの。なんも聞いてないんだけど」
「まぁ、そう思うよな……」
優さんは頭をかいた。
「だいたいさぁ」と続けようとした時、「生二つですー」と店員さんが寄ってきて勢いをそがれた。
ジョッキを合わせ、喉を潤した優さんは、やっと心を決めたようだった。
「実は、悠斗に『さこうど』を頼みたいんだ」
「さ、さこうど?」
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