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「優さん、好きな人ができたんじゃない?」
僕はあやうくパスタを吹き出すところだった。慌ててアイスティーを飲む。
「何言ってんの」
「可能性はゼロじゃないわよ。
結婚したものの、魅力的な美女が現れて優さんの心は揺れるの」
だんだんマサ君の目がうっとりしてきた。
僕は冷静に食べ続ける。
「『いけない、僕には妻が……でもあの人のことが気になる』
美女も優さんに惹かれていく。そして、奥さんが気づいて身を引くの。
『ごめんなさい、別れて。私あなたより仕事の方が大事なの』
そんな嘘をついてね。
そして離婚成立。でも、美女は美女で気にするの。『私のせいで優さんの家庭を壊すなんて……』
そこで、大丈夫だよ、と美女に示すために、優さんは思いつくの。『そうだ、離婚式をやろう』……どう?」
「どうって。
そんな昼ドラ風に言われても反応に困るって。だいたい美女はどっから出てきたの」
マサ君の妄想に呆れていると、爆弾発言が落とされた。
「この美女、悠斗に置き換えてもいいわね。
その可能性はないわけ?」
「ないよ!」
思わず強い口調で言ってしまった。
「……僕、1回フラれてるし」
目をそらしてつぶやく。
マサ君はガタッ、と椅子を前に寄せてきた。
「ちょっと、その話初耳よ、詳しく聞かせなさいよ」
僕は「そろそろ買い物行こうか」と伝票を手に席を立つ。
「悠斗ー!」と声が追いかけてきた。
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