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「そうかぁ。
悠斗はかわいい顔してるから、モテそうなのにな」
ぶわっ、と体が熱くなった。
優さんはそんなつもりで言ったんじゃない。
甥っ子としてかわいい、ってことだ。わかってるだろ、僕。
だけど、だけど、だけど。
「好きな子とかいないのか?」と追い打ちをかけられて、もう限界だった。
「優さんが好き」
瞬間、世界が固まった。クーラーの動作音、外からはひぐらしの鳴き声。
涼しいはずなのに、背中を汗が伝うような感触があった。
今更冗談にするには、僕の声は必死すぎた。
「何言ってんだ、家族は当たり前だろ。そうじゃなくて、恋愛相手として……」
優さんは取りつくろうとしたけど、やっと言えた想いを否定されたくなかった。
「だからその、恋愛相手として好きなんだ!」
「マジか……」
沈黙が続く。顔を見れない。そのうち、優さんは「一人にさせてくれ」と言い残して部屋にこもってしまった。
僕は急に怖くなった。
一緒に暮らせるだけでよかったのに。
優さん、こんな奴気持ち悪いって思ったかも。
絶望の中、眠れない一夜を過ごした。
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