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死神のサボリ先
「やーん、ルカきゅん。さすがだね。今のSMプレイ最高だよ」
とさらりとやばいことを言う。
美穂さん、どれだけ常識が足りないのだろう。
そう思うと同僚で美穂さんに常識を教える係である片岡さんに心の中でいつもお疲れ様ですと同情した。
「美穂さん、そんなことよりもシギがどこにいるか知りませんか?」
と頼んでみる。
仕事の依頼ということで美穂さんの脳がお花畑から一気に現実に戻された。
「あー、サボったんだね。お姉ちゃんに任せなさい。すぐに見つけるから」
と美穂さんの職場である管理局の一室に一気に引っ張られた。
馬鹿力、バカ行動力な美穂さんのおかげと元々GPSをシギの私物につけていたことからすぐに発見。
場所は東京タワーだった。
「東京タワーか。今日のシギくんはなんだろうね、ロマンチックな気分だったのかな。スカイツリーなら人がゴミのようだなごっこができるのに」
「美穂さんそんなエキセントリックな遊びをしているのですか」
この世に降り立った僕と美穂さんは東京タワーを見上げる。
オレンジに近い赤色の大きな塔、この中にシギがいるらしい。
「それにしても昼間に東京タワーか。正直夜のときに行きたかったなあ。夜景がめっちゃ綺麗なんだよ。百万ドルを払いたくなるのよね」
「百万ドルの夜景ですか……。夜景に支払うとしたらどうやって支払うのですかね」
「うーん、ふるさと納税? それとも役所にこの金を寄付するのでどうぞってぼんっと送るとか」
と話をしながら観光客に紛れて展望台へのエレベーターに昇る。
本当ならチケットを払わなければならないが、僕らはこの世の人から見えない存在。
無料で思いっきり楽しめるのだが、生きていた頃を覚えている僕は少しだけ罪悪感を抱いた。
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