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その男、優秀だけど
僕の名前はルカで職業は死神。
あの世とこの世の境目に住んでおり、死者の魂をがんばってこの世から引き上げる仕事をしている。
相棒のシギと一緒に解決が簡単にできない仕事をやっており、周りからは困ったときの神頼みと見られている。
シギは僕と同じく優秀だけど困った癖があった。
その日、僕は日常茶飯事にぶちギレていた。
というのは僕の相棒がサボったから。
気分転換をするのは大切だけど、毎日するのはやりすぎだろうと僕は悪態ついていた。
職場のみんなは大らかで心が広いのか、仕方ないなあーあいつはという態度。
その光景に僕は申し訳ないという気持ちもありつつ、上司に平謝りしてさっさと探しに行った。
職場を出た後に運がいいのか悪いのか、ロリコンでショタコンで普段からお世話になっている恩人に遭遇した。
早瀬美穂こと美穂さんは見た目はビシッと決めたスーツに寝癖一つないすらりとしたポニーテール、眼鏡を外したら美人だろうなあというくらい素敵な人だ。
しかし外面が良い分、内面がひどい。
僕は昔の僕とは違って、背も伸びたしかっこよくはなった方なのだが美穂さんはいまだに僕に対してかわいいとかルカきゅんと黄色い声をかけるのだ。
僕が死神になってから随分と経つのだが、相変わらず美穂さんの親ばか、いや姉バカなのか? その具合はひどい。
もしかして昔から段々とひどくなっているではと思われる。
「やー、ルカきゅん、久しぶり! お姉ちゃんすごくうれしいー!もうーーーーー!」
と抱き着こうとしたので、闘牛士の如くさっといなした。
美穂さんは道端の標識にぶつかったのだが、ぐへへへと不気味な笑い声が絶えない状態。
この人、脳みそ本当に大丈夫かなと心配したが可愛い存在である僕が失言しても素敵なご褒美ありがとうと脳内変換されるので黙って見守ることにした。
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