キミのこころを知るくすり

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ああそうか、そうだったのか。 どうりで、自分は昔から記憶力がいいと思っていた。 これは先天的なものじゃなかった。 くすりによってつくられたもの。 トウヤの目から涙がこぼれた。 悲しみや悔しさのためではない。 自分もミツキと同じ土俵に立つことができたから。 彼女の不安や苦しみを理解できる立場を得て、喜びのために涙を流したのだ。 今度こそ、彼女の問いにちゃんと答えることができるーー。 この世界には二種類の人間が存在した。 チャリオットとフール。 でもこれからは違う。三種類になる。 チャリオットとフール、そしてハーミット……。
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