キミのこころを知るくすり

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ぞわっと鳥肌を立てたトウヤは、次の瞬間、目の前の友人の右腕が押さえつけられるのを見た。ダンの右手は小瓶へと伸び、それを握り隠そうともがいていたが間に合わなかった。 ダンが微動だにできないなんて、女性にしてはすごい力だ。 「松谷ダン、あなたを薬物所持の疑いで逮捕します」 女性の背後には、ものものしい様子のアンドロイドたちが控えている。 「は、はあ!? ふっざけんなよ。いきなり入ってきてテメーなんなんだよ」 「警視庁特殊薬物取締課よ。大人しくしなさい」 「こ、これはただの風邪薬だって」 「それはおかしいわね。さっき、『PPM』と聞こえたけれど? 証拠だってあるわ。録音したから」 彼女は空いているほうの手で、胸元の小型ボイスレコーダーを再生してみせた。 「んだよ……政府が使ってる薬なんだから、所持してたって違法じゃねぇだろ!?」 「いいえ、違法よ。PPMは使用者も、日々の使用量も用法もすべて公に管理されてる。 無断で規定外の使い方をした者や、くすりの売買をした者には、無期または5年以上の懲役、及び1000万円以下の罰金が科されることになってるの。 黒に近いグレーだとでも思った? いいえ、あなたのやったことは真っ黒。そこにある高濃度のPPMを使っても、身体強化なんて図れないわ。心身が壊れるだけ」 「あ、あんた……オレをどうする気だ」 「まずは外へ出ましょうか。署まで同行……」 「するかバァカ!」 一瞬の隙をつき、ダンは隠し持っていたナイフをひらめかせる。女はのけぞって避け、ダンに足払いをかけて床に引き倒した。 そのままダンの利き手を捻り上げる。
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