キミのこころを知るくすり

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「うああだだだだだっ」 悲鳴をあげるダンに構わず、女性は冷静に彼を拘束した。 ガシャン!   最後の抵抗を試みたダンの足がテーブルを蹴飛ばし、ビールグラスが床に落ちて割れた。 が、それだけだった。 うなだれながらアンドロイドに連行されていくダンを、トウヤは呆然と見送るしかなかった。 友人だと思っていた男が、まさか目の前で警察に捕まるなんて。衝撃的で、やるせなかった。 数年ぶりに彼から連絡が来たのも、自分にくすりを勧めるため。中学を卒業してからの7年間、ダンに何があったのか……。 「久しぶりね、トウヤ」 「え?」 突然名前を呼ばれ、トウヤは顔を上げる。 例の警官の女性が、乱れた髪を耳にかけながらこちらを見て微笑んでいる。 「あ。ミツ……キ? もしかして西野ミツキ? 本物……あ、いやごめん。えっとここ座る? ていうか髪伸びたね」 予期せぬ再会に混乱しての台詞だったが、彼女は哀れなものを見るような目でトウヤを眺めた。 「同窓会じゃないんだけど。でもそういうとこ、あなたらしいわ。まさかこんな場所で会うなんて思いもしなかった。申し訳ないんだけど、あなたも参考までに話を聞かせてもらいたいの。私と一緒に来てくれる?」
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