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「だって休みをとるのも体調を整える為の仕事の1つですから」
「・・・・」
「残業分の手当を貰えないならする必要は全くありません。それやっちゃったからスタンさんは不満が出たんですよ」
「・・・・成る程な」
「私は1度貴方の中にいましたから。貴方のやったこともその時の気持ちもその時に感じ取りました。忘れて無いですよね?」
「え?」
その言葉を聞いて急にピタリと歩みを止めるスタン。
「気がついてなかったんですね。あの時意識共有はしてましたよ? その時にああ不器用な人だなって思ったんです。ギルマスの家庭とか心配しちゃって早く帰れとか言って、自分は残って仕事の遅れが出ないように翌日の準備までしてましたよね」
「~~~~~~!!」
くすくす笑う綺麗な顔はいたずらっ子のようにニンマリすると、
「バレてますよ私には」
そう言って極上の微笑みを見せる。
「・・・ 参ったなあ」
「参らなくて良いですから行きましょう? お店は1軒だけじゃ無いでしょう?」
「ああ、2、3件行くつもりだが」
「じゃあ行きましょうよ。遅くなっちゃう」
今度は彼女が握った手をグイグイ引っ張って、職人街に向かい始める。
「ああ。急ごう食堂で時間を喰っちまったからな・・・」
「・・・ 毎回何で私と会う日にソニアさんが来るんでしょう?」
「へ? ああ。そう言えばそうだな」
確かにそうだ。毎回現れるよな?――
「2週間に1度しかスタンさんには会えないから時間が勿体ないんですけど私」
「え?」
仏頂面になって口を尖らす彼女が何だか・・・ 可愛い?―― アレ?・・・
「原因調べといて下さいね! 何か『デート』の邪魔されて、気分良くないですから」
「え?」
「デート!! スタンさんがどう思っててもデートだって私は思ってるんですからねッ!!」
顔を真っ赤にして言い切ったけれど恥ずかしくて又前を向くが耳は赤いままで・・
スタンまで顔が赤くなった。
×××
「いい! その調子よー!」
職人街に続く街路樹の上に障壁足場を作って下を覗いていたソフィアの口を慌てて塞ぐシルファ。
「あ、ゴメン」
「静かにしないとバレるぞ」
まさか王太子夫妻にデートをデバガメされているとはリナもスタンも思わないだろう・・・
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