1夜目 星の屑

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─── ─ 「──陽乃とはどうやって出会ったの?」 「たまたま一緒の講義で隣だったんだ。学部関係ない講義あるじゃん?単位のために取ったんだけどグループワークがあってね──」  飲み始めて1時間ほど。お互い程よく酔いが周り、他愛もない話に花が咲く。饒舌さに拍車がかかり、笑みも増える。  普段は一夜限りの夜伽を繰り返す日々。そういえばこうやって同年代の男の子と楽しく話すことはなかったような気がする。互いに目的が合致している上で会うし、会話を求めたこともされたこともあまりなかった。  だからなのか、今この瞬間が楽しいと感じた。口にはしないものの、それが態度に現れてしまっている。 「──あはは、同い年の子と飲むのって楽しいんだね」  どうやら彼も同じようだった。 「へぇ、一ノ星くんあんまり飲み会とかしないんだ」 「あー、いや。同じ学部の子達とはするけど男ばっかだよ。だから女の子と飲んだの久々って意味だった」 「ふぅん…。陽乃はまだ未成年だしね」 「そうだねぇ…あとちょっとだからそういう意味では楽しみではあるかな」 「恋人と飲むのは楽しそうだね」 「…そういえば文月さんは彼氏、いないの?」  その手の類の質問は幾度目になるだろうか。行きずりの人にされると辟易するものだが、不思議と彼からのそれに嫌悪はなかった。 「いないよ。いたらこうして飲みになんて来ないんじゃない?」 「…一般的にはそうかもしれないけど。そういうのは人によるかなって」  人による、その言葉はある意味逃げだなと思った。  マイノリティの肯定は自己防衛の予防線でもある。他者に寛容な反面、不義の言い訳にもなる。まさに紙一重、やはり彼からは同じ匂いがする。 「でも私だって生娘ではないよ」  なんとなくわかったから、こういう話をしても問題ないだろう。そも、男女で酒を交わしているのだから性愛の話の1つ出ても不思議ではない。   今日は予定が流れたから。そういう気分だったから。話くらいなら誰にも咎められないはずだから。そうそれこそ、、のだから。  おそらく軽く酩酊したであろう脳が、そんな言い訳をしていた。 「…というと?」  赤らんだ頬を微笑ませる。拒絶はなく、彼は続きを促した。 「言葉通りの意味だよ」 「そういうので後ろめたい経験とか?」 「ないって言ったら嘘になるね」  私はつい夕刻に思い出したばかりの記憶を思い返していた。
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