学園症候群

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 それから一月後。 「先生、グレンさんからお手紙が来てますよ」 「なんだって?」 「先生の施した処置は大変不評で、生徒の反対運動が起こり、やがて暴動寸前にまで発展したそうです」 「そ、それで?」 「学校と生徒間での話し合いの結果、体育倉庫のドアと保健室カーテンだけ採用でそれ以外は全て元に戻すことで合意したそうです」 「なるほどね……それもまた学園症候群だね」  先生はそれっきり学園症候群には興味を持たなかった。  私も落ち着いて考えてみれば学校って矛盾や曖昧、不条理やときに不合理が混在していてそれが学校という場所でそこにこそ学校の意味があるんじゃないかと、久しぶりに学校に行って感じたのだった。 「じゃあ行ってきます」 「ああ、楽しんでおいて」  先生はこちらを見ずに優しな声で言った。  私はおもいっきりおめかしして同窓会へと向かった。
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