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入園式
4歳になったきららが幼稚園に入園することになった。
本来なら桔平の子育て休暇が終わる出産1年目から、きららを保育園に預けるつもりだった。
それを聞いた、真宙の父母からきららを預かりたいと言われ、それならお願いしようと3歳までは両親に預けて仕事を始めた。
今年4歳になって、小学校入学の為にも集団の中に入れるべきだと言う真宙の意見で幼稚園への入園が決まった。
近所の幼稚園は桔平の勤務先が管轄する協会の経営で、幼稚園から高校までの一貫教育を旗印に高度な教育と差別のない社会を目指している。
バース性に関係なくクラス分けされ、アルファもベータもオメガも一緒になって学び遊ぶ。
幼稚園からはそのまま小学校、中学、高校へと進学できるシステムで、途中からの入学は余程の理由がなければできない。
その為幼稚園への入園は熾烈を極めることとなった。
入園選考の親子面談では親の意識調査も厳重で少しでも、差別意識を持った親の子は入園出来ない。
入園できさえすれば、高確率で最高学府への入学も保証されるとあって入学希望者は後を絶たず、倍率は年々高くなっていた。
きららに合格通知が届いたときには真宙や桔平はもとより、両親まで歓喜の涙を流したほどだった。
実を言うと真宙はこの園を落ちていた、落ちた理由は定かではないがその結果、別の幼稚園から小学校へ入学したことで桔平と知り合ったことを思えば、落ちたことも運命だったとしか思えない。
きららが初めてのスーツに身を包み、喜びに顔を綻ばせた。
小さな紳士の出来上がりに桔平も真宙も嬉しい笑顔を向けた。
真宙のスーツ姿は毎朝見ていても、惚れ直すほどだと桔平は思っている。
自分の薄い華奢な身体に比べて、真宙の身体はスーツが似合う。
将来きららもそうなって欲しいと思う。
両親に手を取られ入園式の会場へ向かった。
児童数は120名、30人づつの4クラスになっている。
クラスはそれぞれ花の名前が付いている。
ゆり組、ひまわり組、さくら組、もも組となっている。
きららはゆり組だった、ここでは名前以外は知らされることは無く、バース性を知るのはこの系列の最高責任者ただ一人となっている。
教師はおろか生徒にも知らされることは無い。
その為みんなが平等に接し、成長していく。
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