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肩を落としがっくりと座っているのは、おばあちゃんの家の縁側。
あまりの拒否ぶりに
「今時の子はあかんねー」
と、家に連れていき消毒液を貸してくれた。
「昔は何でも唾つけときゃ、治ったもんやけどなー
知らんか?やらんかったか?
痛いの痛いの飛んでケー」
そう言って、おばあちゃんはくしゃっと笑った。
思い出した。
おまじない。心のおまじない。
『もう泣かない。痛いの痛いの飛んでけ。
強い子は泣かない。
大丈夫。すぐに治るから』
母さんのその言葉で明るく笑えた。
怪我も失敗もかっこ悪さもすぐに消えた。
心のおまじない。
ずっとずっと伝えてくれてた。
気持ちが大事と教えてくれてた。
自分の心が自分を追い込むと教えてくれてた。
思い出したよ。
心のおくすりはきっと俺が持ってるよ。
縁側でおばあちゃんの梅昆布茶と思い出話で
俺の明日が明るくなった。
今度は家にも帰ってみよう。
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