女子会

4/4
前へ
/148ページ
次へ
半ば強引に腕を引っ張るようにして 日比谷駅の改札を2人通ると、 ホームに入ってくる電車を 待ちながら、美穂は早瀬の顔を覗き込んだ 「あ…怒ってます?」 「怒ってるって言うか、なんでこんな事になってんだって」 「私が一人で帰りたくなかったから」 「…?」 「主人公の気持ちを20文字以内で答えてみました…」 フッ、とメガネの奥で彼の目が 笑ったような気がした  物静かで優しそうな人 案外、こういう人と結婚したら、 穏やかな結婚生活を送れるんじゃない? 稼ぎはそこそこでも あらためて早瀬を見る 髪型は、控えめツーブロック? 白いTシャツにタイトな黒いパンツを着て シンプルだが、小奇麗にしている 肩から下げている若者に大人気の ブランドロゴの入ったリュックは、 みるからにパンパンで モバイルグッズ、PCとか絶対山盛り入ってそう その後、途中まで、とは言ったものの 結局早瀬は律儀に下北沢駅で一緒に降り、 美穂を家の前まで送ると 「じゃ、たしかに送りましたよ」 と言って帰ろうとするのを 美穂は慌てて 「あのっ!プライベートの連絡先教えて」 と言った 早瀬は、特に嫌そうな顔をするわけでもなく 淡々(たんたん)と携帯を取り出し、連絡先を交換した 美穂は早瀬が帰っていく後ろ姿を見送りながら お酒のせいだけではないドキドキを 感じていた これが、恋に落ちたっぽい瞬間ってヤツかしら…
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

414人が本棚に入れています
本棚に追加