兄の友達

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 放課後、蒸し暑い教室には自分1人。  窓の向こうに広がるグラウンドからきこえるのは、部活に精を出す人たちの掛け声。  その声は、少々眠くなってきた今、ちょうどいい目覚まし代わりとなっていた。  先生から渡されたプリントに黙々と文字を書き込んでいく。  真面目なのではない。  家に帰ってもやらないから。  自分のことを自分がよくわかっている。だから、今のうちにやっておくだけだ。  なんの取り柄もない自分だから、とりあえずその辺でポイント稼いでおかないと、あとで大変なことになる。  進学なら、推薦で内申書にも響いてくる。真面目にやっておくに越したことはない。  進学かぁ。  働きたくないから進学を選んだけど、だからって行きたい大学がある訳でもない。  優秀であれば、有名な大学に行きたい、とかあるのだろうけど。
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